「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
なかなか大人になってから叱られたことがないですよね。このセリフ、流行語大賞の候補にも挙げられました。NHKの「チコちゃんに叱られる」という番組内で、ある決まり文句で使われています。今日はこの番組を取り上げます。
まず、知らない人もいるでしょう。詳細はNHKのHP等で調べてみてください。ここでは、どんな番組なのか、その構成を説明します。
まず日ごろ何気ない言動に焦点を当てます。例えば「なんで年末のことを「年の瀬」っていうのか」。この問いの答えを、司会進行の「チコちゃん」が、解答者の芸能人に聞きます。「え、そんなこと考えたこともない!」と答えると、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られるのです。
そこで、チコちゃん、番組の冒頭なのに、すかさず答えを言ってしまうのです。なぜ「年の瀬」というのかというと、それは「借金清算の攻防の時だから~っ」・・・再び「?」
これからが大切です。つまり、問いと答えのギャップを埋めるための説明ビデオが流れるのですが、必ず「その道」の専門家が現れるのです。例えば歴史的な記録だったり、データだったり、文献だったり、さまざまなエビデンスと例を基に、専門家が説明を繰り広げるのです。
そして、最後に「なるほど、だから借金清算の攻防の時と結び付くのね」となるわけです。
この番組構成、パラグラフの構成と全く同じじゃないですか? Introduction → Body → Conclusion です。そう、導入部で結論を述べ、本論ではfactをもとに識者の見解と例示、そして結論は導入の繰り返し。なるほど、と思う思考パターンをうまく活用しています。
さて私のポイントは、というと、何も番組礼賛をしたいわけではありません。この本論展開部分にクリティカルになって欲しい、ということなのです。識者の見解はあくまで「見解」であって、真実かどうかわかりません。もし疑問があれば、それはなぜか、どこが論理的ではないか、等々、能動的に受け止めて欲しいのです。じゃないと、メディアに私たちの思考を乗っ取られコントロールされてしまいます!
とはいえ、単なるバラエティー番組です。そう固いこと言うなって声も聞こえてきます。ボーっと生きたい時もありますよね?あ、チコちゃんに叱られる?