IB TOKのの科目こそ、日本の学校が今後導入すべきものであると確信しております。しかし、この科目の存在を知らない学校が多くあります。TOKこそが、批判的思考と分析力の育成に繋がり、すべての教科、ひいては人生で活用されるスキル の根源になります。 TOKのねらいは、「私たちはどのようにして知を知るか (How do we know what we know?)」という問いに真剣に向き合っていくことです。生徒が考え、この問いの価値を認識する。私たち教師も共に研究を進め、この問いの価値を認識しながら深めていけたらと思います。 私自身、IBを幼少期に経験し、様々な考え方を学んだことから、IBの教育をさらに知りたいと、大学院までIBについて研 究してきました。IBは今、日本で急速に広まろうとしております。特にTOK(知の理論)という教科は、「知る人」としての考え方を深める事が できるので、勉強を机上のものでなく、世界の見方を構成するものとして考える基礎となります。皆様に情報を発信していくことで、IBが目標とす る”life-long learner(生涯学び続ける人)”が日本で増える事を願っています。
小林万純
★ご挨拶
ご挨拶申し上げます。IB TOK研究とICTのお手伝いをさせて頂きます、武藤哲司と申します。ぐんま国際アカデミー(GKA)という、小中高校12年一貫イングリッシュイマージョンスクールに勤務しております。英語のIB Biology と日本語の高校生物を教えております。GKAは英語で各教科(国語除く)を教える一条校でありまして、高等部のみIBDPを行っております。
さて、Theory of Knowledge(TOK)はIBの中でも一番とっつきにくい教科だと思いませんか?DP取得には必須ですし、各教科の中でも折に触れて教えなければなりませんが、いったい時間をかけてやる意味はあるのでしょうか?答えはYesです。TOKとは異なる常識の人達と、本質的なコミュニケーションを取るための考え方を学ぶ事が出来る教科です。我々が国際人として謙虚でかつアクティブに交流できるようになる為には、私たちが各々の”あたりまえ”をどの様に脳の中で”創っているか”を知らねばなりません。実は私は前職では神経発生学の研究員として日本とアメリカの研究機関で様々な国の人々と働いておりました。研究者はまだ未発表の誰もしらない物や事や技術、すなわち”共有知”になってない事のジャングルの中に分け入り、なにを信じていいのか正解が無い世界の中で、どの方向に自分の貴重な時間や研究費を賭けるのかを毎日決断しなければなりません。
この様な生活はとても刺激的でしたが、大学院を卒業していきなりプロの世界でサバイバルを求められたときには、最初非常に不安にもなったものですし、試行錯誤の間にずいぶん時間を無駄にしました。私はそのようなところで暫く暮らす間に、もっと早く日本の学校教育の過程においても、知識のジャングルの中でどの様に生きていけばよいのを考える機会があればいいのになあと強く思う様になりました。そして体系だったTOKのカリキュラムに接したときに、私はこうした思いにまさにぴったりだと感じたのです。
今日ではインターネットの発達で、物理的な距離はコミュニケーションの障害にはならなくなりました。また、研究者だけでなく、市井の個人が1次情報から高次の情報まで様々なレベルの大量の情報に接することができるようになっています。しかし、それ故に「知っている」とはなにか、「真実」とはなにか、そしてどのような情報を選んで自分の人生の参考にするのかという答えを見つけられなければ、容易に騙されるか、自分にはない良い物を持っているにも関わらず、常識や慣習が異なる人たちといたずらに喧嘩や戦争をする事になるでしょう。
日本人としての誇りを持ちつつ、世界中の人々と胸を張って一緒に未来を創っていくことは相反することではありません。ESN英語教育総合研究会では多くの先生方が様々な方面で活躍していらっしゃいます。私も末席でぜひ皆様と一緒に前に進むお手伝いをさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
武藤哲司
明徳義塾では、国際バカロレア(IB)TOK(Theory of Knowledge)「知の理論」に関する学習を、「エッセイ」指導の中で、独自に展開しています。
IB Japanese(日本語)IB校でJapanese Bを2011年から担当しています。また、2012年からIBDP Japanese Bの試験官、2015年からワークショップリーダー、認可訪問団メンバーでもあります。前任のIB MYP (Middle Years Programme) 候補校ではMYPコーディネーター、CASコーディネーター、Language A (Japanese) を担当した経験があります。そのような背景から多角的な視点でIBDP Japanese Bを時には俯瞰的に分析していきたいと考えています。こういった場を通してIB Learner Profileに一歩でも近づける「一学習者」であり続けたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。