このコンペティションでは、「英語力」と「日本語力」の両方を磨いてほしいと思っています。「言葉の探究」です。英語・ドイツ語のような近い言語とは違って、日本語と英語の間には大きな距離があります。発音、文法、文字表記など、どれを取り上げて比較しても似ている部分はないですね。人気番組「プレバト俳句」でもわかる通り、助詞一つの使い方で伝わるニュアンスが変わる日本語と、意思疎通のためには配置・語順が重要な英語との互換は意外と難しいですね。俳句は英語文化圏でも評価されて久しいですが、どうしても置き換えられないことは多いし、通常の会話ですら進化した翻訳アプリでもどうにもならないことがあります。例えるならば、「永遠に結ばれることのない恋愛」みたいなもので、片思いの連続です。
そしてもう一つ、参加される皆さんに体験してほしいことは「協働」です。勉強は一人でコツコツとやるもので、孤独との闘いみたいな言説がありますが、それは受験のための昭和の価値観です。ハリーポッターや、ワンピースでも「仲間」、「協力」が大切とのメッセージを受けて取っているはずです。「学ぶことは別」ではないと思います。ぜひ、グループでのやり取りを生かして翻訳を完成してください。そして、そのやりとりのプロセスもプレゼンの評価になっています。
距離の遠い言語を学ぶ時、その「くせ」や特徴の違いを理解することで、アプローチやインストールがしやすくなると思います。正面から「英語」だけをまっすぐみるだけでなく、母語である日本語とも対峙する機会を通して、言葉に対しての視野を広げてください。
映像字幕コンペティションChief Director 唐澤博