鮫島慶太鮫島慶太

TEAP入試

先日上智大学のTEAP入試説明会に
参加してきました。

遠方から参加された先生方もいらっしゃったようで
新しい入試に対する関心の高さを改めて感じました。

大切な生徒をお預かりしている訳ですから
先の見えない教育改革には期待と同時に
大きな不安もあります。

TEAPは個人的には思い入れもあり応援したい
新しい日本の入試英語の1つです。

TOEFLは素晴らしい試験だと思いますが
日本の未来を担う人材を選抜する試験に
アメリカの試験をそのまま使うのはいかがなものか?
と感じています。
日本の国富が毎年アメリカに流れていくというのも
大きな疑問を感じざるを得ません。

またTEAPの開発者は大学時代の恩師の吉田教授。
開発者の一人も大学時代のゼミ仲間でもあり
身びいきな面もあります(笑)。

私個人からは4つの点を全体会で質問させて頂きました。

① 今後会場は増えるのか?CBTへの対応は?
② 4技能試験拡大の時期は?
③ TEAP入試で入試はどう変わったか?確保出来る学生の変化は?
④ TEAP入試による併願数の増加の具体的数値は?

他の先生方からは以下のようなご意見や質問がありました。

⑤ TEAP作問について上智大学はどの程度関わっているのか?
⑥ TEAPの結果はどのくらいで分かるのか?
⑦ 各技能についてのコメントが分かりにくいのでは?
⑧ TEAP入試導入で他教科は今後どう変化する?
⑨ TEAPの受験料は安くならないのか?

①については英検協会が前向きに対応してくれるよう要望中。
②については上智大の中で具体的に検討中。
③については、入学時スコア、学年別スコア、就職率、大学院進学率など
多面的に追跡調査し、従来入試で確保してきた人材との客観的比較を行う。
④については最大15併願、10合格があったとのこと。

ご丁寧に回答頂けました。

⑤については上智大は開発で関わったのみ。作問、運営は英検協会。
⑥についてはWebで10日、スコアカード発送までには2週間程度。
⑦については、ご意見として今後の改善に活かしていくことを英検協会へ。
⑧については、世界史の論述や現代文の論理問題などCT能力重視の路線を継続。
⑨については、英検協会が決めているが上智大としても要望している。

とのことでした。

TEAPに限らず、英語の外部試験を入試に導入することが
今後の日本の人材育成にどのような影響を与えるのかが
最も気になるところです。

現在私が感じていることをまとめると…

① 英語外部試験導入により入試における英語のウエイトは縮小する。
従来の入試英語で鍛えれていた技能は別の科目で鍛える必要が出てくるし
従来の英語授業で出来なかった教育をいかに実現するかが英語教員の課題に。

② 英語以外の科目も変わらなければ、知識偏重教育からの脱却は難しい。
(例)センター試験の世界史問題の酷さなどは以前のブログで指摘させて頂きました。

③ 漢学・蘭学から英語を通しての学問という従来の学びのスタイルからの変更が起こることに期待。
日本の西洋コンプレックスを克服するチャンスへ繋がるのでは?

といったところですが、残念ながら私の問題意識とは別の方向に日本の人材育成の理念が
向かってしまう危惧も感じています。

すなわち、グローバリズム=アメリカンスタンダードへの適応の加速…。

ただ、日本人の若者がそんなに愚かではないことを楽観もしています。

英語がグローバルに使われることによって逆にネイティヴにすら制御不能なほどに
英語はどんどん変化している…。

グローバリズムの中に、従来の日本の「おもてなしの精神」や「スロットマシーン資本主義」(私の勝手な造語)を超えるものが芽生えていく可能性だってあると思っています。

Baseballを独自の「野球」文化に変容させたような動きを期待したいところです。

この記事を書いた人

ESN英語教育総合研究会

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