「学力向上のための授業改善」(ICT機器の活用を通して)
お隣の一橋中学で行われた公開授業を見学に行きました。
東北地方から訪れた先生方もいらっしゃったようで
百名を超える参加の大規模な研究発表会でした。
英語の授業を中心に見学させて頂きましたが、
理科・社会・音楽・国語・体育の授業も見学させて頂きました。
どの授業もタブレットを活用していましたが
それだけでなく、それぞれの先生方が授業を工夫されていて興味深かったです。
まず、自分の学校の外へ出て他の学校を見に行く!
それだけで様々な発見があります。
受付をされていた先生方の応対の丁寧さ
積極的に授業に参加する生徒の明るい表情
開放感のある天井の高い光の多い校舎
傘入れ用に沢山準備して頂いた番号付のポリバケツ
自分の学校にも沢山の良さがありますが、
足りないものにも気づかされることが多いですね。
さて、授業内容ですが、特に興味を持ったのは英語、体育、社会、理科でのICTの使い方です。
自分の英語の授業でどう活かせるかという視点で見ていたので、上の4つの教科での
使い方に特に興味を持ちました(もちろん、音楽や国語も楽しそうでしたよ)。
まず英語ですが、「自分の好きなもの」について作文した原稿をどのようにプレゼンしていくか?
ということを出発点に授業展開されていました。
① 自分の好きなものについて英語で書いてみる(10文程度)
② 先生は全員分の作文を添削し、お手本となる音源を事前にサーバーに置いておく。
③ ALTのプレゼンを動画を授業で見せることで「よい発表」のポイントを生徒に考えさせる。
④ 生徒はお手本を参考に自分の発表を録音し、自分で聞いて、ポイントごとに自己評価する。
⑤ 改善点を考え、再び録音する。
この後も展開があったかもしれませんが、私が見学させて頂いたのは以上の流れです。
何人かの生徒さんの英語を見させて頂きましたが、
My favorite musician is X. I have two reasons. First, Y. Second, Z.
というフォーマットに従ったものが多いですが、家族の好みや紹介するポイントなどに生徒一人一人のオリジナリティを感じ楽しく読ませて頂きました。
社会では2泊3日の北海道旅行のプランを作るという授業、理科では「力の世界」について作図して考えさせる授業でした。
素晴らしいなあと感じたのは、生徒一人ひとりの解答やグループの進行状況を教員は一つ一つ授業内で確認出来るシステムですね。40代以上の方はご存知でしょうが、「クイズダービー」の大橋巨泉さんの役割を先生が出来ると言えばイメージが沸くと思います。「では篠沢教授の答。ドン!なんだ、こりゃ?(爆)」みたいな。
従来のPC教室でも同じことは可能でしたが、生徒一人一人が端末を手軽にペン入力出来るのでキーボード入力よりはるかにスムーズに授業が進んでいました。
もちろん、一橋中学の先生方はそんな乱暴な使い方ではなく、洗練された使い方をされていましたが、私ならやってしまいそうです(笑)。面白い展開が出来そう!気をつけないと人権問題になりそうですが(笑)。
体育(ダンス)での使い方もすごく参考になりました。自分たちの踊りを動画として撮ることで
その場で修正出来るわけです。一つ一つの技術は脳によって誤りを修正しながら習得されるわけですからすごく理にかなったご指導だと思います。
授業を拝見しながら、ICTでなければ出来ないだろうと思われる授業展開案をいくつか思いつきました。
① Talk and talk のペアワークを録音し、全体で聞いて問題点を共有し改善していく。
② 生徒の作文課題を出来た生徒から一人一人の問題点を確認し画面上で添削したり、全体で間違いを共有し学ばせる。
③ New Treasure 2 の旅行プランを班作業で英語で作成させ、パンフレット部・PV部に分けて発表させる。
ICTが実現出来る教育を私が考える時のポイントは
① 生徒の学習意欲が向上するか?(より楽しんで勉強出来る・やる気が出る)
② 生徒の発話機会が増えるか?
③ 生徒自身が自分の進歩を具体的に感じることが出来るか?
④ 学習の共有がどの程度進むか?
(英作文にせよ、パンフ作りにせよ他者の目を意識した表現活動を促進出来る)
⑤ 授業後に生徒が学習できる機会を生み出し学習の継続性を実現出来るか。
といったところです。
私たち教員は「電子機器を使えるか?」ではなく、「電子機器を使って何を実現・改善出来るか?」
というレベルでそれぞれが授業改善に取り組んでいかなければなりませんね。
大変ですが、わくわくしてきますね。
ただ、環境の実現は学校によってかなりの温度差があり、
全教室に電子黒板が設置され、全員がタブレットを使える環境を
うらやましくも思いました。
大変有意義な研究会でした。
ありがとうございました。