2016.3.26に十文字中高で行われたESN英語研究会でも触れましたが、早慶が入試情報を公開したので改めて2016年度の早慶入試を分析してみたいと思います。
2016年度の早慶入試を一言で言えば、「文科省のルール変更による定員超過抑制策が受験生を直撃した厳しい入試」だったと言えます。
ただ、次の資料でお分かりのように、全体が厳しくなったのではなく、早稲田大学は看板学部や難関学部は例年通り、比較的入りやすい学部の門を厳しく閉めたことが分かります。
理系が弱く、実学系よりも例年文・文構・教・商・社学といった学部で合格者を多く出していた女子校の数値が軒並み半減したのも無理はないですね。例年だったら合格している生徒の多くが泣くことになった訳です。さらに、「文高理低」に逆流したことが重なり文系受験生には特に厳しかったと言えます。(赤は2011~2016の最高倍率。青は最低倍率)
ただ、2001年からの倍率推移を見てみると、近年、特にリーマンショック以降の早大入試が相当入りやすかったことも分かります。
こうした変化をきちんと見れているのかというと、受験生だけでなく、多くの教員・保護者も案外知らなかったりすることがあります。「進学実績を伸ばさないといけない!」なんて言ってる多くの学校の管理職さえよく分かっていないことも珍しくないのではないでしょうか?
次に慶応義塾大学ですが、こちらも早稲田大学とほぼ同じ。2016年の入試がいかに特殊だったかが分かります。
経済学部は新入試導入で一般入試が元々狭き門になっていましたが、そこに「定員超過抑制策」と大学生の就職状況良化による経済人気復活で一気に難化。早稲田大学と同様、門を閉めたのは文・SFCで難関学部の法や理系はあまり変化がないことが分かります。
ここ数年で見ても、2016年度の慶応大入試はもっとも厳しい入試だったことがお分かり頂けると思います。(赤は2011~2016の最高倍率。青は最低倍率)
ブランド力で今や私大の中で一人勝ちの感さえある慶応大学ですが、それでも首都圏学生の占有率は私大全盛期に比べると相当高いですし、浪人生も当時に比べると大幅に少ない。
特に今の中高生の保護者の多くは1980年代~1990年代の「私大全盛時代」のイメージが強いので昔の感覚で首都圏私大の難易度を捉えてしまわないような注意が必要かと思います。
さて、来年度以降の入試ですが、今年よりも定員超過抑制の%が厳しくなり、さらに「文高理低」の流れが継続しそうですから、文系学生にとっては覚悟して臨まなければならない入試になりそうです。
ただ、いつの時代でも合格できる学力を持っている学生というのも存在するわけで、それは「3科目とも得意」というタイプに他なりません。
英語だけ勉強するとは、歴史しかやらないとか、とにかく苦手科目から逃げてしまうような学生にはますます厳しい入試が待っている状況にあることを受験生には肝に銘じてほしいですね。
以上、簡単な分析報告でした。