鮫島慶太鮫島慶太

日本人はペシミズムが好き? Critical Thinkingについて考える

吉川 洋著 「人口と日本経済」(中公新書)を読んだ。

「人口減少 ⇒ 労働力人口減少   ⇒ 日本の将来は暗い」
「AI進化 ⇒ AIによる労働代替 ⇒ 労働者の仕事剥奪 ⇒ 路頭に迷う労働者」

こうした短絡的な Causes & Effects を実証的に検証し反論を加えていく本書
からは学ぶべきことが多かった。

著者の主張が正しいのかどうかは、まだまだ勉強不足の私には
判断が出来ないが、少なくとも著者の提示する反証の妥当性を
否定出来ない間は、大きな説得力をもった主張として私には
魅力的に写る。(もちろん現段階でも幾つか疑問点はありますが)

さて、著者の思考姿勢はまさにCritical Thinkingそのものである。

だから Critical Thinkingの能力が必要だ。

それは正しい。

しかし、「人口減=経済縮小」「AI進化=就職難」といった
枠組みを主張する人々が、Critical Thinkingの訓練を受けていない人々で
Critical Thinkingの能力を有していないから短絡的なのだ、と言えるだろうか?

そもそもどちらが正しいかまだまだ分からない。

CTスキルはあくまで道具である。

大切なのはマインド・ハートではないか?

自分が正しいと思っていても、集団に埋もれ集団の力学に支配され
その場の損得を考えてしか行動出来なければ、CTスキルなど
何の役にも立たない。

人口問題やAI問題を悲観的に捉える人々やそれを無条件に支持する人々が多いのは
何もCTスキルの不足だけが原因ではあるまい。(悲観論者が間違いということではありません。鵜呑みにして支持する、あるいは支配される人々が多いということ)

要は、その説を信じたいのだ。
私も含めて、「明るい未来を信じて生きる」方が
厳しくエネルギーが要ることなのだから。

特に日本人は悲観論が好きな気がする。

明るい未来を信じて、バカだと呼ばれることを恐れず
1日1日を大切に生きよう!

それがなければCTなど宝の持ち腐れになってしまう。

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