鮫島慶太鮫島慶太

格差・公平・公正について考える

英語民間試験が共通テストの代替として導入される、というテーマで大騒ぎになった時に、民間試験採用により、「入試の公平・公正」が脅かされ「入試に向かう格差」が拡大する、という声が多く聞かれた。

これは、間違いなく事実としてそうだと今でも思う。共通IDを用いて高校3年生の1年間で2回しか受験出来ないし、そのスコアしか使えないとは言え、高校3年生になる以前の時期には、親の収入により受けられる民間試験の回数は当然変わるし、練習が出来る方が有利に決まっている。

ただ、今年のコロナ危機で、特に各私立大学の入試の発信を見ていると、「格差」「公平・公正」を理由に民間試験反対を叫んでいた人達も含めて、およそ「格差」「公平・公正」を重視しているとはとても思えない。

□ 今年に限り2年間有効スコアのルールを高校1年生を含む3年間と配慮する。

⇒ は?早期に基準クリア出来る生徒はかなり恵まれたアドバンテージを英語学習に対して持っている生徒に限定されますけど?

□ 本年度については、広く民間試験資格も認める。

⇒ は?公平・公正な環境が試験に必要、はどこ行った?自前の試験が出来ない場合の保険?

□ 英語民間試験の資格を持っている生徒については評定がなくても出願資格とする。

⇒ 学校の評定よりも民間試験重視?Affirmative Actionとか関係なし?

□ TOEFL iBT Home Editionの利用を本年度は認める。

⇒ え?それかなりハードル高いけど・・・。

□ オンライン入試実施予定であるが、環境については各家庭で整備を。

⇒ 一次審査は家庭の通信環境ですか?

4月に各所に向かって声を挙げた件については

1)郵便物のデジタル化 ⇒ 一部大学には大変改善頂きました。が、残念ながら一部です。

2)民間英語試験利用中止 ⇒ 文科省が悪いという話をしつつ、自分達で決めたまま変更の可能性やその場合の対応についての発信はしてません。文科省が5/14に求めた配慮についても知らん顔に見える大学様が多いのですが・・・。これで、「文科省があああ」とは言えないのでは?

3)高校3年次の評価・評定・調査書不要 ⇒ 東洋大学など本当に現場に配慮した対応をする大学もある一方で主体性評価についての発信も変えない大学が多いこと・・・。

英語民間試験採用反対派の中には、大学の先生も多数いたと思うのですが、「格差」「公平・公正」の話はどこ行ったのでしょう?

また、自分も含めて本当に視野狭窄だと反省していますが、今回のコロナで困ったのは地方よりも「東京」であることもこれまでと違う点かもしれません。過去の震災で多くの地方の受験生が困った時には、果たして「配慮」がこれほど話題になったかと言えば、残念ながらそうとは言えないように思います。

今回はソースを示してFactとして論じると特定の大学への批判になるのでやりませんが、そもそも、何のために大学入試をテーマに、「格差拡大阻止」「公平・公正を」という正義を叫ぶのか?

入試だけにそんなものを求めても、「公平・公正」な社会は実現せず、「格差社会」もなくならない。もう入試をそんなに大事する価値があるのか?それを守って何が守れるのか?何を守りたいのか?それを守って全体が壊れたら、本当に守れるのか?

結局、入試の公平・公正を守ったところで、この社会自体が保たないのであれば、社会がよくなる仕組みから考える必要があるのではないか?そもそも、一般入試で大学に入る人達が8割を超えていた時代と今とでは大違い。付属校から、推薦、AOから、それが悪い訳ではないけどそれで「ブランド」手に入れて、そのブランド、本当に価値あるの?今の日本でそんなもの保ってて何か得するの?

少し感傷的に今回は書きましたが、Flexicurityに向かうには、社会全体のコンセンサス構築が必要、これは小熊英二さんの受け売りですが、本当にそう思います。が、そんな動きは微塵もないように見える。MMTも結構、21世紀型なんちゃらも結構、未来のなんちゃらも結構。けど、それで本当にどれだけの人がハッピーになるんだ?

リソースとして広く人材を活かすには、科挙はもう時代遅れでしょ、とっくに。

うちの職場でもいますよ、高学歴の老害。学歴なんかたいしたことなくても頑張って凄まじい生産性を発揮してる人材。しかも、仕事や社会で必要なことは常にアップデートしていく。そんな中で、属性でマウント取るしか能が無い連中にもウンザリ。そういう人間の存在が周りの人間の生産性をことごとく潰していくから。

さて、仕事しよ。

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ESN英語教育総合研究会

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