鮫島慶太鮫島慶太

2021 共通テスト 文系科目単なる感想

Facebookで1科目ずつコメントしていったのですが、文系科目は全て解いてみたので、感想をここで投稿をまとめてみます。英語については後日詳しくコメントするかもしれませんが、とりあえずの投稿です。

【英語Reading】

共通テストのfact, opinion 問題。本文読まないで解けてしまうやん😅
コンセプト自体がアカンと言うてきたのに…。詳しくはまたブログで書きますが(というか以前試行問題の時に課題として発信したのですが)。難化と言うてる予備校の判断も表面的な予感が😅。

分量の多さに惑わされなければ、センターよりむしろ満点取りやすいというのが私の感想です。
Fact,Opinion の問題はコンセプトに難ありは既に投稿した通り。
さて、ただ一問。
うちの生徒のマインドから心配な問題が一つ。
17:00にお土産屋に到着。約1時間の購入時間と指示される。ホテルの食事は18:30スタート。お土産屋の最寄りの駅から乗るべき電車はどっち?
17:40発18:02着の電車で徒歩数分でホテル 
か 
18:00発で18:22着の電車で徒歩数分のホテル
真面目なうちの生徒なら、お土産屋購入時間切り上げ、電車が遅れる可能性も考えて、5分前集合を考えて、部屋でお土産置いて戻る時間も考えてしまいかねない😅
嫌な予感するなぁ😰
だから私はギリギリまで見学も遊びもやって来いと言ってきたんだけど…。
いや、『だから』は違うけど😅

【英語Listening】

うちの学校はZ会のリスニング問題集を使用してますがほぼ難易度的にも同じであっただけでなく出題ミスとしか思えない聞かなくても解けるグラフ問題までまさか本番で出るとは!?ビックリ😳
デンマークの幸福度の問題は最近話してた雑談的な話とリンクしてたけど、まぁそういうことはよくあること。
今年の生徒は一回読みだけでなく、配点が大きい設問があることに苦しむかな。
これは例年の国語と同じで上位層で差を生みやすい。もちろん、どこまでを上位層とするのか?にもよるけど。
ところで、せっかくデンマークの幸福度の問題出すなら、このコロナ禍で入試だけはどうしても、というシステム変えればいいのに…。

【現代文】

英語と違って漢字の知識を問う問題、これ本文ほぼ読まなくても出来るレベルで従来とあまり変わらない。
評論の問題の選択肢の長さもセンター試験から変わらず。
解答では確実に間違いを含む記述さえ弾ければ正解に辿り着くのは難しくない。小林秀雄ショックの年も基本的に問題自体は難しくない。生徒目線で見れば、本文の言ってることがサッパリ理解できないレベルなのか、なんとなくでも自分の中で引っ掛かるものがあるのか次第で解きやすさは変わるでしょうね。今回はそれほど厳しいテーマではないかな。妖怪ではなく鬼がテーマだったら更に解きやすかったかもだけど。
小説も本文、批評①、①への反論と、小説のようなタイプの文章の読み方や解釈の多様性というコンセプト以外は、従来型とあまり変わらないし、解き方も実は評論と同じ。根拠は本文にしかない。本文に書かれてない余計な情報を含む選択肢を除外できれば、正解へのアクセスは可能。選んだ選択肢の妥当性にこだわりすぎると迷うでしょうけどね。
で、新傾向、どこ行った?😅
試行問題と題材が違いすぎでは?というか、止めるなら今後も止めれば?受験生への配慮なのか、今後もなのか、
これでまた来年も受験だけにフォーカスする人達は疑心暗鬼になりそう…。

【世界史B】

もう知識はほとんど脳から消えてる自分がどう感じたのか、レベルの発信です。昔読んだ漫画のストーリーすら記憶から飛ぶ今日この頃ですから、コメントはそういう奴のレベルの発信だとお読みください(笑)。
まず、資料の改竄や言論弾圧を所々でテーマにしてる🤣
歴史に学べというメッセージとして受け取りました😅
次にセンター試験の世界史ほどひどい試験はない、とずっと言ってきましたが、今回改善されてると感じました。
少なくとも様々な出来事、背景などの因果関係として歴史を考えさせるスタンスは感じました。
ただ、これ、グラフ何の意味あるの?という使い方は今後改善して欲しいです。
形式だけ繕っても意味はないから。
用語集ボロボロにしてきた受験生には食い足りなさやかなりの浅さを感じたかもしれませんが意味も分からず、受験終われば忘れるような知識問題よりはずっとコンセプトはいいと思いました。

【日本史B】

受験科目としては使わなかったので高校1年生の時に履修しただけです。素敵なお爺ちゃん先生の授業、眠くなることも多かったけど、戦時中の体験談など今でも覚えてるなぁ・・・。
世界史に比べると昔から歴史を学ぶ面白さなどを意識した問題はあったように思いますが、後半の問題は私でもあまり間違えなかったです。つまり、出されている資料や統計をよく見たり、背景を考えたりすれば史実についての細かい知識がなくても解答が出来る。
センター試験時代の地理Bなんかがそういう特徴ありました。原油を飛行機で運ばないよなぁとかそういうことを考えられれば知識がなくても解ける問題があってそれだけで6割取れてしまったり・・・。ただ、地理Bもそうだけど、年度による難易度差が大きく、むしろ求められる知識レベルが上がると平均が下がっていたことを考えると、今後は後半のコンセプトの問題が増えれば、丸暗記よりは、「なんで当時の人はこんなことをしたんだろう?」といったことを考える科目や授業になりそう。
試験から授業を変える発想は好きではないし、もう何度も言ってきてますが、「試験の精度や質の向上」では社会は良くならない。けど、こういう問題になることには私はいいなぁと個人的には思います。
で、何より嬉しかったのは、一遍上人また登場😊踊り念仏、好きなんですよね~。
佐久市のお寺にも2度ほどお邪魔して、祭りのために団子作ったり。40歳超えてたけど、「学生さん?」とか聞かれた。元気な80代や90代から見えれば私なんかただの小僧なんだなぁとくすぐったい気持ちになりました(笑)。

【地理B】

資料の読み取りや背景の考察でかなり取れると感じたのですが、案外平均点は伸び悩むのかな?意外です。
高校時代履修すらしなかった科目ですが田舎の地元公立中学入学当時は最も好きな科目でした。当時の地理の先生が、山登りが好きな先生で、授業中に見せてくれる写真が大好きだったことや、親戚が車でいろんなところに連れて行ってくれることが何よりの楽しみだったことから、中学時代までの自分がどれだけ恵まれた環境だったのか、改めて感じます。
天橋立は大好きな場所の一つで、高校時代の友人とも、家族とも、その他色々な人達とも何度か行ってます。ちなみに現高校3年生が本校に入学してきた年の中学入試の問題とほぼ同じという偶然。6年前の入試のことを生徒が覚えてたかは・・・。うん、きっと覚えてたと信じましょう(笑)。
地理って地名覚えるだけの科目ではなく、産業や歴史とも関連するし、地学とも当然リンクするし、何より行ってみたいというワクワク感も生みやすいし、学んでいて本当に楽しい科目だと思います。センター試験時代から実は解いていて一番楽しいのは地理だったりしますね。もちろん、知識を聞かれると知らなければどうにもならない訳ですが・・・。
地政学といった学問も注目されるようになってかなりたつけど、文系理系問わずに勉強しておいて損はない科目だと思います。もちろん、テストに向けて、ではなくて、体系的に学ばなくても、特定の地域を歴史、産業、人口動態などのデータ、地形、地政学など様々な観点から考えて学ぶだけでも、無茶苦茶勉強楽しくなる気がします。

【倫理】

今回平均点高そうですね。
もともと資料読解力や文章読解力があれば、知識がほとんど必要ない問題が最も多い科目だったと思いますが、今回は特にそのタイプの問題が多いことが平均点の高さに繋がるのではないかと思います。
2016年の倫理・政経の倫理分野の問題では、ハイデガーの思想についてかなり突っ込んだ「知識」が問われるような問題もあり、単純な人物ー書物名ーエッセンスといった勉強では対応が難しかった記憶があります。
学ぶ生徒目線が工夫されている点は新しいコンセプトを感じさせる問題ですが、うーーん。
テストとしての工夫という文脈の中でこうした努力は悪くはないと思うのですが、やはりテストはテストでしかないとも同時に感じます。
あ、と思ったことがあり、ちょっと追加。
ハイデッガーにしても、フッサールにしても、リオタールにせよ、分かりもしないものと必死で格闘した昔を思い出しながら解いていたのに、軽く友人同士の会話や先生との対話で日常に落とし込まれてることが私には気に入らなかったのかも😅
親しい友人や敬愛するアーチストを、かるーくパターンにはめ込んで理解した風なやり取りに、お前等に何が分かるんだあ~!と怒鳴りたくなる気持ちかぁ。なるほどね😅。
思春期に必死に格闘したことは、今の自分にどう役立ってるとか、そういうことでなく、混沌に向き合う経験そのものを若い子たちの日常にゆとりとして与えられる世の中になって欲しいと思います。

【政経】

これは大人の方が取り組みやすいですね。社会人としての経験値があれば、何も勉強しなくてもほぼ満点取れてしまう人も多いと思います。私は満点ではなかったですけど😅。
この科目、以前より明らかに「知識」確認タイプから、読解力や資料読み取り能力に変化していますね。「これしかないやろ」と全ての選択肢を確認しなくても正解に飛びつける問題が最も多かったです。
地理B、倫理、政経、日本史B,世界史Bを解いて思ったのですが、
「国語」という科目のコンセプトより、文系・理系を問わずこれらの科目の問題の中で、「知識」がほぼ不要の問題で総合的な科目を設置するくらいで十分に大学入学後の基礎学力としての読解力や資料読み取り能力は測定出来るのではないか?と感じたことです。
上記科目の横断科目を、「読解」とし、「現代文」「古典」「それぞれの地歴公民」「数学」「英語」「理科」は、志望する大学が個別で出題するなり、民間試験使うなりすれば十分では?
国文科志望の受験生も医学部志望の受験生も、同じ「現代文・評論&小説」を解いていること自体が本来は異常なのかなと思います。
幅広く中高生に学ぶことを求めたいなら、そっちの方がよいと思いますが、いかがでしょうか?
もちろん、反対意見も出るでしょうね。
ただ、大学入学適性試験程度のものとして、こういう変え方もありだと思います。どんなに丸暗記の知識を持っていても、グラフや資料や論理の基礎読解に難があるのなら、それは克服すべきものとして学べるようにすればよいと思いますし、そうなれば中高もリカレントの場として幅広い層を受け入れる場に変われるかも知れない。
駄目ですかね?
あと、『国語』という呼び方。もういい加減止めるべきかと。

【現代社会】

倫政は倫理と政経からの抜粋なので、現代社会を解き終わり文系科目は全て終了。
予想平均点が低い理由が分からない位、知識はほぼ不要の問題で、適当にしか課題文読まなくてもすぐに解答出来る問題が多い。けど、これも政経と同様に大人の経験があれば、なのかな?
そもそも私は中高一貫校に高校から入学、しかも10名しかいない高校入学組の1人なので、数学I、現代社会、理科Iという科目は教科書渡され、「勝手にやっといて」と言われた人間なので、この科目は習ってもいない。35年前でも中高一貫校ではそういう科目は中学3年生時に履修しているのが普通だったんですよね。高校の最初の数学の授業で春休み因数分解予習してた私が、「タンジェント・コサイン・サインの一部だけ残ってるから、さっとやってしまうぞ~」と言われた時に、「あれ?数学の先生じゃないの?」と疑問に感じたのは、実話です😅
今回の共通テスト・現代社会でもPBLが強く意識された問題設計になっていますね。ただ、結局、それもテストですから、資料と主張がロジカルに繋がっているか?といったことを読み取らせるだけの問題で、地頭がそれなりにある生徒なら勉強もPBLの経験もなくても軽く解くでしょう。昔の私も共通一次の現代社会、ノー勉で満点近く取れた記憶がある。これ、別に自慢ではなく、そういう試験だということだと思います。
今回の問題では、コンドルセのパラドックスが話題になってたけど、そういう知識を聞くのではなく、パラドクスの内容そのものを政治における意志決定という具体的な場面で考えさせる狙いがあって、試験問題というより、中高生には是非知っておいて欲しいなぁと感じました。

【今後の展望】
ここ数年サボってましたが、今回は色々理由があって、久々にやってみましたが、恐らく今後は以下のような展開になるのではないでしょうか?

① 試験の中身ではなく、スクリーニング機能が重視される。
② 来年度は共通テストコンセプトを更に重視する形式に。
③ 今年の平均点で難易度は隔年減少で調整される。

入試改革で教育が変わる、とは私には思えません。
教育変えるなら、社会が先か、少なくとも同時。
テストで授業を変える、という考えにはやはり同意出来ません。
数学・理科は眺めるだけしか出来ませんが、少しずつ・・・。
ただ本校の頼りになる仲間達の意見だと

① 化学は基礎を含め、理不尽に難しくセンスや「お釣りがある学力」がないと解けない。
② 生物は知識不要の問題が多すぎて、来年の反動が怖い。
③ 数学は上位はかなり苦労する。平均点が高くても上位層で差がつくかも。ただし、このテストで出来ること=数学が出来るとは思えない。

らしいです。

高校時代の同級生。ワンゲル部でしたが、「地学は趣味」と言ってました。そういう学びが出来る人は、こんな試験に右往左往しなくて済むということに尽きると思います。
見習わないと、と思いながらもなかなか出来なくて、楽しいところだけつまみ食い、を散々やってきたんですけど😅

この記事を書いた人

ESN英語教育総合研究会

ESN英語教育総合研究会

ESN英語教育総合研究会は、次世代の英語教育ファシリテーター育成を支援するためのポータルサイトです。関東と関西を中心とした全国規模の研究会の実施や、教材や授業実践などの情報交換を通して全国の先生方のネットワークの構築を目的としています。英語教育に関わる各種研究情報や研究員のブログなどを配信いたします。

この記事と同じカテゴリーの記事

女子教育

女子教育研究会FEN オンライン学習会 No.16 女子STEAM教育の課題を考える

女子教育

女子教育研究会FEN 第15回オンライン学習会 なかったことになる『私の声』 ドキュメンタリー番組で使われることのない女性のストーリー

女子教育

第14回女子教育研究会FEN 「なぜ、ウェルビーイングを「幸せ」と訳すだけでは足りないのか?」 女子教育におけるWell-beingを考える 概要

  • ESN Facebook
  • STUDY

研究情報カテゴリの記事

女子教育研究会FEN オンライン学習会 No.16 女子…

女子教育研究会FEN 第15回オンライン学習会 なかった…

第14回女子教育研究会FEN 「なぜ、ウェルビーイングを…

女子教育研究会FENで労働政策研究・研修機構JILPTの…

女子教育研究会FEN 第13回オンライン学習会

女子教育研究会FEN 第12回オンラインイベント 「女性…

いつのまにか ”探究している”時間になる そんな実践型の…

女子教育研究会FEN オンラインイベント No.11 「…

『探究・PBLコーディネイター研修』(第2期)のご案内!…

女子教育研究会FEN 第10回オンラインイベント 「働く…