鮫島慶太鮫島慶太

教員の多忙化解消の問題で見落とされていること 「部活動は教員の仕事からアウトソース化されるべきか?」

先ほどまで、コトバンク様主催のイベントに参加しました。

【教員のバーンアウトを防げ!】今すぐできる!マイナス2時間プロジェクト  

登壇者はカナダのマギル大学博士課程の緒方先生、ESN英語教育総合研究会の高瀬先生、コトバンクから司会で元教員の越智先生。

教員のバーンアウトをテーマに

① 教員の多忙の実情・教員の労務管理(変形労働制の是非を含めて)

② 教員の自己効用感

③ 教員の多忙化改善の具体策:会議・朝礼・担任制度・部活動

など、話題は多岐に渡りました。

90分という限られた時間でしたし、ウェビナー形式でしたので詳しいやり取りは出来なかったのですが

今回は、「部活動は教員の仕事からアウトソース化されるべきか?」について簡単に考えを述べたいと思います。

私自身は教員をスタートした1990年から、「部活動は教員の仕事ではない」という立場です。

30年前の新人から、回りの空気も読まずに、この考えを主張し続けてきたので以下のような記事を読むと、やっと時代がここまで来たのか?と思わざるを得ません。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e9ea86e8dde844686bdb7543ce155652d6282f0

しかし、この問題、そう単純なことではないと今では思っています。

労働条件の観点からは、時間外を前提にした部活動業務は教員の業務から外し、専門家に任せるべきである、という考えは変わりません。そもそも現場の善意に甘え続けてきた学校という組織の管理職はその大きな犠牲に対して責任を感じるべきだし、変えようとしないのであれば、断罪されても仕方がないと思います。

一方で、「学校は部活動をやるところではない。勉強をするところだ」という考えについても、私は昔はそうでしたが、2022年の現在、これは改めて問われるべき重要なテーマだと思います。

「授業や勉強では大切なことは学べない。部活動こそ真の教育の場である」

この考えには今でも賛同しかねますし、部活動が顧問の聖域と化していたり、部活動の関わる様々な業務を教員に押し付けてきたのが他ならぬ、部活動に熱心な教員でもあることなどはすぐにでも改善されるべき課題だと思いますし、部活動に熱心で授業にいい加減なら本末転倒だという考えも変わりません。

しかし、「学校は進学に向けて、効率的に勉強を教え込む場」としてはもはや存在意義を持たないし、今後サステイナブルではないのは、現状の部活動だけでなく、現状の授業やカリキュラムも同じではないか?ということです。

「授業では大切なことは学べない」。これは、学校という場の存在意義をUpdateする上で我々が今真摯に向き合わなければならない声だと思います。確かに授業が上手い先生はいるし、生徒や保護者の満足度を考えても、それを求める声は根強くあるでしょう。しかし、それが学校という場でなければ出来ないのか?と言えば、今後ますますそうではなくなる状況が進行すると思います。

教員側がスタサプより上手く授業出来るかどうか?という単純な話ではありません。そもそも、クラスにせよ、学校にせよ、偶然作られた集団です。この集団が偏差値輪切りで同質化しすぎてしまうことは以前からすごく気になっていました。個人的には小学校の集団が一番勉強になったと思っています。

家を借りたり買ったり出来ないからオヤジがバラックみたいな家を作ったとか、遊びに行くときにお金の心配が避けられない友達がいるとか、施設から通う友達がいるとか・・・。中高大と進むにつれて、周りの人間はドンドン似たような環境で育った人達になる。それは社会人になってからも続く・・・。

こうした社会において、外国人も含めて様々な多様性を持つ集団で、教科書を学ぶのではなく、プロジェクト(学校行事など学内のものも学外のものも)を中心に様々な経験をする場としての学校。また、これは元品川女子の教頭である鈴木先生のビジョンですが、「主要5教科がサブになり音美工書体家などこそが主要教科になり協働的な学びの場になる(主要5教科はICT活用を進めればよい)」といった新しい学校の在り方も模索されるべき時期にきていると思います。

部活動がなければ、本来的な学びの場ではなくなってしまう学校が仮に現状あるとして(恐らくそういう学校や環境も少なくないと個人的には思います)、その学校から部活動を業務として引き算すれば学校がよくなるか?と言えばそうではない。

かといって部活動を継続すれば、現場はもたない。

ならば、学校そのものの在り方を変えるしかない。

途方もなく難しいことで、私個人の力ではとても出来ませんが、そもそも今のそれぞれの学校の存在意義が何なのかを、しっかりと議論してUpdateすべき時期がとっくに来ているのではないかと感じました。

イベントは様々な気付きを与えてくれます。緒方先生、高瀬先生、越智先生、ありがとうございました。Repeatalkの皆様にも感謝です。

この記事を書いた人

ESN英語教育総合研究会

ESN英語教育総合研究会

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