研究員ブログ鮫島慶太

生成AI時代の教育を考える

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5/31に開催されたベネッセ教育総合研究所主催のイベント、「気付きと学びの対話プロジェクト第12回トークライブ」に登壇者の1人として参加させて頂きました。

モデレーターは小村俊平さん、登壇者は青山学院中等部 安藤昇先生(情報・数学・物理)、立命館宇治高校 稲垣桃子先生(国語)と私の4名でした。

多数のご参加があり、ご視聴頂けたことに感謝です。新しい場での参加にワクワクして楽しんできました!

切り口が幾つもある難しいテーマでしたが、参加者の皆様も交えた様々な発信をカオスを楽しみながらも、少し振り返りながら整理してみたいと思います。

まず、従来の学校教育の中でも、上下関係という構図で展開される「授業」を典型とする教育はChat Gptの誕生を待たずして、既に時代遅れとされていることは、参加者を含めて共有されて
いたと思います。

具体的に言えば、

「答を(先に)持つ先生(=先に生まれた大人)が、答を求める生徒に授ける」

という構図は、もうとっくの昔に崩壊しています。
先生より高学歴で知識量も豊富な保護者も珍しくないですし、先生より知識・技能において優れた生徒も珍しいわけではない。そんな状況で、学校が「時代遅れの演劇性」に支えられて存続することは
流石に最早無理な状況だと思います。でも、現場では、ほんの数分前に聞いた話を堂々と上から目線で喋る教員も、まだいると言えばいますけど(^^;)。

さて、そういう学校の構図は壊れているとして、次に「学力」=「答があるものへの対応力」という図式はまだまだ現場には根強くあります。もちろん、それは入試が旧態依然としている
ことと無関係ではない。

この「学力=答があるものへの対応力」の図式が生きている時間軸を、「短期」と捉えるとChat Gptは、この図式の中である程度機能していくものと思われます。

ここについては、私が具体例をお話しました。

英検で求められるEssay Writingの添削においてもはやChat Gptは日本人教員のみならず、ネイティヴの添削すら凌駕するレベルに達していると感じています。大したプロントを工夫しなくてもそれなりにこなしてしまうのですから、AIが英検レベルのエッセイライティングの効率化をドンドン進めていくことは間違いありません。普通の添削なら1週間かかるものが、一瞬で終わる。ならば学習者はドンドン量をこなすことが出来ます。ただ、あまりに鮮やかな添削であるが故に、「支援」を必要とする学習者も少なくないと思われます。もちろん、この「支援」の役割もChat Gptが担っていくことは時間の問題かも知れません。

多くの大学の総合型選抜や学校推薦型選抜で求められる志望理由書についても似たような状況にあります。Chat Gptでも、志望大学のAPと志願者との対話で、それなりのものは既に出来ます。
ただし、この点についても、ここも私の実践からお話させて頂きましたが、Garbage in, Garbage out.の状態。志願者の内省レベルが浅いと、大したものは出てきません。
この活用法においては、AIは単なる「増幅装置」に過ぎません。誰がエヴァに乗るのかで戦闘力は大きく変わるということですね。(あ、中島先生を思い出した)

短期的にAIが学習者の学びを変え、教員の役割も変えていくという現象は、今後かなりの格差を伴って進行していくでしょう。しかし、これはあくまで短期、序章に過ぎない。

安藤先生はAIを含むプログラミングに精通しておられる達人です。その安藤先生が実際に行っておられる授業がイベントの中でご紹介されましたが、まさに革新的なものでした。

まず、生徒は学びにおいて一切の忖度が不要になる。こんな質問したら怒られるかな、とかこんな発言したら友だちに笑われるかな、といった不安から一切解放されます。
安藤先生の発信を伺っていると、従来の教室という場がいかに子ども達の「心的安心安全」を実現出来ていないものなのかを思い知らされました。
AIと学習者の世界では教室にいる教員という存在とは遠く離れたところで生徒1人1人がActiveに活動している。教員が作るActive Learningがこれと同じレベルの学習を実現することは至難の業となるでしょう。

と同時に、そこには不安要素もあります。それは、本来学校という場が生徒の成長を実現するために持っていた「レジリエンスを要求するストレス」が、AIの学習の場には存在しないということ。この点を私が指摘したのですが、稲垣先生はまさに学校という場の存在意義が改めて考察され、Updateを迫られる「温故知新」の近未来についてお話下さいました。
稲垣先生のご指摘は、テクノロジーが教員という人間に取って代わるということよりも「場」の存在意義に注目されたことが素晴らしいと感じました。そして、恐らくそれは子ども達1人1人のWell-beingを追求する私たちの「探究」に他ならない。そんなことを改めて感じさせて下さった稲垣先生に感謝です。

更に、やや中長期的な目線で考えると、社会が子ども達に行う「教育」そのものが変容するということが、モデレーターの小村さんから発信されました。

「教育は創造へ向かう」「答のない課題こそが重要になる」

これらは既に耳にすることが増えた本質ですが、Chat Gptの登場はそこへ向かう流れを加速度的に速めていくのではないかということが共有されたと思います。そこへ向かう未来に不安を大きく感じる大人もいますが、やはり印象的だったのはそこへ向かう未来をワクワクしながら誰よりも楽しんでいるように見えたモデレーターの小村さん。素敵ですね~。

更に、そもそも「資本や社会」が子どもに要求する「学び・主体性」といった構図そのものも恐らく崩壊する。従来の教育が「逆算思考」で行われてきたことを考えると、それは
至極当たり前の結論になるでしょう。

「社会が変わっているんだから教育も変わらなければならない」

よく言われることですが、この発信そのものが「逆算思考」以外の何ものでもないということはあまり指摘されていないように思います。

どう変わるか見えない中で、「変わる社会」を定数として逆算して教育に変化を求めること自体が自己矛盾だと思います。これはもちろん私見ですが。

変わっていく社会を大人も子どもも関係なくただ楽しみながら生きていく社会

そうした社会においてこそ、学校は新しいコモンズとして生まれ変わるのではないか

イベントに参加させて頂いて、そんなことを感じていました。やっと、やっと日本が出来なかったCitizenship教育へ向かう流れも生まれるかも知れない。

多くの期待を抱きながら楽しませて頂きました。

それにしても、会が終わってから気づいたのですが、安藤先生、コロナ禍で散々お世話になってたYouTuber。恩知らずですみません。大変お世話になりました。今後もよろしくお願い致します。ドラゴンボールネタがツボ過ぎて、ほんと大笑いしました。私も安藤先生の授業に参加させて欲しいです。

皆様、楽しい時間、貴重な時間をありがとうございました!

 

 

 

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