石井豊彦先生発表 2022/8/20
女子教育研究会第3回オンラインイベント
「私の女子教育の経験をご紹介する」(石井豊彦先生)
① 自己紹介
上智大学理工学部化学科卒業(1979年)
藤沢薬品(現アステラス製薬)(1979~81年)
公立中学校教諭(1981~1992年)
大阪府(1981~86年)香川県(86年~92年)
フランスパリ日本人学校(88~91年)
ベネッセコーポレーション(92~2004年)
進研模試編集を担当(98~2004年は編集長)
品川女子学院(2004~2020年)
教頭(2012~19年)、理事会監事(2021年~)
関西国際大学(2020~2022年 )
特任准教授、高大連携センター長、併設校副校長
客員准教授(2022年4月~)
② 石井先生の課題意識
女子校・男子校存続の危機(全国残存200前後)が日本の教育における多様性の危機になってしまうのではないか?多様な学校が選択肢としてあることが日本の教育にとって望ましいと考えるので、その点に大きな危機感を覚える。
③ 石井先生のキャリア:一般企業→公立中学→フランスパリ日本人学校
→ベネッセコーポレーション→品川女子学院→関西国際大学・神戸山手女子中学高等学校
一般企業、公立中学、海外の日本人学校、教育関連企業、私立女子中学高等学校、大学と多様なキャリアを経験出来たことが、多くの学校を多角的な視点から捉える視点につながっていることを感じました。
④ 公立の良さと私立の良さ
公立:最低品質の保証・高流動による教員の多様性・手作りの教育・教員による温度差がある・個人主義になりがち・女子にとっての阻害要因は多い?
私立:独自性・チームによる教育・私学のファン固定層による支持がある・女子にとっての阻害要因は少ない?
「公立だから、私立だから、男子校だから、女子校だから、共学だから」ではなく、性差を含めたそれぞれの学校の課題を考える必要があるというご発信に考えさせられることが多かったです。
⑤ 28プロジェクト:2002年から
1)時代背景:1989年中等部に入った生徒が10数名
→ 募集回復後にも安易な進学実績至上主義には行かなかった。
2)理念:卒業生のWell-being
3)各論:仕事=苦行ではなく楽しいものであるという意識改革<中2から6カ年教育の中で>
ディズニーランドでのインタビュー体験→中学3年生での企業コラボ+デザイン思考を学ぶ(任天堂Wiiの例:スペック重視ではなく人の笑顔を目指す)→ 高校1年生ではリーダーシップ講座→高校文化祭での起業体験プログラムへ
4) 最初は学年行事として→温度差への批判→学校の取り組みへの進化
5) ロールモデル
→ 30代前後の女子社員(月に一回)39講座→ 企業にとっては研修として位置づけ
6) 中高生にとってのPBL:会社や仕事の実情を生徒が知る機会 → 文化祭(9月)での起業体験プログラム=アントレプレナーシップを育む → 事後株主総会で配当図書券
7) 教員の関わりのスタンス:「もめごとを経験させ失敗をさせる」(品川女子学院 漆校長による発信)
8) 大学生や大学教員がクラスに入りデザイン思考・リーダーシップ教育を浸透
9) 山手女子ではリーダーシップ教育を強調
10) 努力と結果の4象限マトリックス:愛徳学園・三好健二先生(中高女子校)による補足説明
進学実績向上を心配する内部の声もあったが、生徒の学力を右肩上がりの直線で捉えない見方を提唱。学力推移についての捉え方のUpdateとして「スクールバイオリズム」という考え方を採用した。
Q&A
※ スライドの写真は男性が多かったようですが、ロールモデルでは男女比は? → 多様であった
※ 教職員の流動性・多様性については? → 私立らしく低流動。他の私立と変わらない
※ 28プロジェクト・一期生の現在は?
→ 28歳になった卒業生が7割程度は学校をあげての同窓会に戻ってくる。
資生堂の人事部長による品川女子学院の人材育成に高評価を頂いたが、それが28プロジェクト以降の卒業生であった。
※ 校内での意見統一について。難しかったのではないか?
→ 困難な点もあったが、利害調整よりも未来への意思統一を重視した。校長のリーダーシップが非常に強かった。
※ 28 プロジェクトについての具体的な質問: ファシリテーターへの謝礼は?(SGH以降 1回時給3,000円程度。特別講演会はほぼ交通費のみ)
※ ストーリー:他人に伝えたくなるストーリー:広報的な観点より