去る3月25日(土)創立10周年を迎えたESNの春期セミナーが、山脇学園を会場に3年ぶりにフィジカルで開催されました。30名を超える参加申し込みをいただき、当日は足元の悪い中、わざわざ大阪から足を運んでいただいた先生もいらっしゃいました。
会場となった山脇学園のラーニングフォレストは、探求型の学びを実現する環境として2022年冬に新設された6つのエリアからなる施設で、当日もセミナーの内容に対応した複数のエリアで、教員の学びが活発に展開されました。
4部で構成されたセミナーのテーマは『自己肯定感の回復』です。
第1部では、もと高等学校教員で現在はカナダのマギル大学で講師をされている緒方健作先生の録画動画を視聴しました。日本の教員がバーンアウトする要因とメカニズム、さらにその対策や解決策について、先生ご自身の経験も踏まえた現実的なお話をいただきました。
第2部では、エリアを変えて、『スラムダンク勝利学』等のご著書で大変有名な、スポーツドクター、辻秀一先生からご登壇いただきました。先生の最新のご著書である『自己肯定感ハラスメント』の内容に基づいて、自己肯定感ではなく自己存在感の獲得が重要であること。目標達成型、課題解決型の認知的な思考がわれわれの精神に負荷を与え、心を蝕む要因となること。何のために行動しているかにフォーカスし、今の自分の感情を言語化することが大切であること。非認知的な思考をトレーニングし、それを日々の認知思考にサンドイッチしていくことで、自我が安定し、成功につながるという、目から鱗が落ちるお話をいただきました。原因を自分の外に求めるのではなく自己の心に求めることを習慣化していくように努めたいと強く感じました。
第3部では、現在の教育改革は市民社会Orientedではなく、国家・経済界への奉仕という枠組みで動いていることを一次資料をもとにお話されました。経団連を組織する大企業型雇用に向かう若者は全体の7パーセント程度でしかなく、教育改革で求められている能力は、広く市民社会の担い手である全ての若者にとって本当に必要な力であるのかという疑問が提示されました。公教育は民主主義を維持発展させる国民を育てるシチズンシップ教育であるべき、という先生方の教育にかける強いメッセージが心に響く、たいへんすばらしいお話でした。
第4部では、かえつ有明中・高等学校の山田英雄先生にご登壇いただき、「ことばとこころ、英語教育と探究の接点」をテーマにお話をいただきました。
探究教育の前に、心を安定させて、自分の考えを話したいと思わせるような環境づくりを行うことが大切である。そのためには自分の感情を言語化して共有していく活動を授業内で日常的に行う、実践の積み重ねが必要であることを、グループワークを通して実感することができました。生徒ひとりひとりの心を大切にする山田先生のお人柄が伝わり、先生の授業を受けているような気持になる、心のこもったお話でした。
最後に、協賛企業として10社からご協力をいただき、10周年のノベルティや当日のブース設置等で会場を盛り上げていただきました。ひとこと御礼を申し上げます。また、会場を快くお貸しいただいた、山脇学園の西川校長先生におかれては、ご挨拶をいただいただけでなく、大変お忙しい中にもかかわらずセミナーにもご参加いただきました。大変ありがとうございました。
この春期セミナーが、新年度に少しでも先生方のお役に立つことができましたら幸いです。今後も先生方が生き生きと楽しくお仕事ができますように、様々な企画をお届けいたします。
ESN研究会より