定員厳格化による入学者抑制の影響
2018年3月29日の発表が近くなってきました。
何度やっても緊張するものですが、
新しい人たちとの出会いも含め
今の自分が変わっていくことにワクワク
する気持ちも強いです。
今回の発表では、
① 民間試験と従来型試験の相関関係
② 入試英語と生徒の現状
③ LT/CT教育の必要性
の3つをテーマにお話しするので
2015年の時に触れた、直近の入試分析については
ほとんど触れる予定がありません。
ということで、今年の入試状況分析をブログで
ご紹介させて頂きます。
あくまで私個人の分析ですので、Factをベースに
したつもりですが、Opinionもかなり含まれるものとして
それぞれ Critical にお考えの上、お読みいただければ幸いです。
今年の入試についての分析はまだこれから続々と出ると思いますが
一昨年(2016年の入試)から始まった定員厳格化=入学者抑制=合格者数激減
の影響について、あまりご存知ない方は以下のサイトなどをご覧下さい。
http://between.shinken-ad.co.jp/hu/2017/07/nyushikekka.html
今回の投稿では、こうした一般の分析では見えにくいところを中心にお話しさせて頂きます。
(毎日新聞記事より)
上の表から分かるように、2018年の入試は2016年から始まった定員厳格化の影響で、かつてないほど厳しくなった。先ほど紹介したベネッセのサイトは昨年の結果であるが、分かり易いのでグラフをご紹介しておく。
上記の3つのグラフから分かることは、ベネッセの分析通り以下の2点である。
① 首都圏の大学が合格者を段階的に絞り込んでいること。 ② センター入試よりも一般入試で絞込みを行っていること。
しかし、実はこれだけでは以下の早稲田大学などの合格者数変動という事象の説明がつかない。
2016年入試(117%上限)では大きく合格者数を減らした高校が目立つのに2017年入試(114%上限)では合格者数を回復した高校が多い。
この謎は以下のデータを見れば解ける。
(補欠合格を除く早大(文・文化構想)倍率)
ここから読み取れることは以下の4点である。
①早慶ともに偏差値の高い実学系学部では入学者を絞っていない(元々多く入れていない) ②定員抑制が人文系学部に集中して行われているため、見た目以上に厳しい入試となった。 ③2017年の早大入試ではTEAP入試が早大入試史上例を見ないほどぬるい入試であった。 ④2018年の早大入試ではTEAP入試がセンター1科目利用受験並みの倍率に上昇し難化した。
今後は早稲田大などはAOや推薦枠を増やすことを検討しており、一般入試では更なる激戦が予想される。(4割から6割を推薦・AOへ?)
http://news.livedoor.com/article/detail/10913922/
こうした大学の方針転換を、早大は「東大落ちではなく、早大への入学志望が高い生徒を取りたい」と説明しているが、これは本当だろうか?もちろん、「そう思う」というのは事実なのだろう。しかし、ご紹介したグラフを見れば、センター試験で抑制を行っていないことが明らかな訳で、「早大志望が強い生徒優遇」ではないと言える。
私立大学が真摯に人材育成を考え、独自の教育や研究を行いたいのであれば、どの大学の説明会も全く同じ「グローバル×キャリア×英語」という発信にはならないはずである。
大学も辛いことは分かる。お上は札束で言うことを聞かせようとしているのだから。こんな品のない教育行政には反吐が出る。文科省などない方がよいとさえ思えてくる。
しかし、だからと言ってやられっぱなしでは困る。 こうした行政の気まぐれ政策の影響を最も強く受けるのは学生なのだ。 生まれた年が1、2年違うだけで全く異なるハードルを課されるのではたまったものではない。もちろん、いつの時代にも順風、逆風はある。しかし、今回の文科省の政策による影響はこれまでとは異質で異次元のものである。2020年の教育改革とやらも、恐らく大きな痛みを子ども達に強いることになるだろうが、子ども達が生身の人間であることを忘れてはならない!