人間模様をリアルに映し出すクリント・イーストウッド監督の作品が好きだ。今回は「運び屋 (The Mule)」を観た。90歳の男性アールが麻薬の運び屋となりつつも、家族との絆を取り戻していくというストーリーだが、その主役をクリント・イーストウッド自らが務めている。アールが大きな仕事を途中で無視し妻の臨終の場に向かった時のこと、長い間話すらできなかった娘と2人で会話をする場面がある。仕事に没頭し、家庭を顧みず信頼を失ったことや自分のせいで多くのチャンスを潰してしまったことを謝ると、娘は”I don’t think so. You are a late bloomer.”と語り、父親を受け入れる。この「遅咲きの花」という表現が気に入った。アールは父親としは失格だったが、今は立派な父親になろうと努力しており、それを娘は認めている。この「今努力していること」と周囲の「認める姿勢」がこの「遅咲きの花」という表現の条件になっている気がする。若き成功者のことを尊敬するが、この「遅咲きの花」に心惹かれるのは、きっと自分も同類だという認識があるからかもしれない。さて、自分は何をどのように咲かせようかと真剣に考えた。
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